フィールド・デザイン思考~右脳と左脳の交差点

弊社代表 見山謙一郎のコラムです

「BOPビジネス」、「ビジネスモデル」に感じる違和感

バングラデシュでの予定を無事終え、バンコクまで戻ってきました。

今回は、日本の地方銀行の方々と一緒ということもあり、
国内、及び現地の中小企業(SME: Small and Medium-sized
Enterprise)
を意識しながらの視察でしたが、

「バングラデシュも、いよいよ次のステージに進みつつある」
という胎動を肌で感じることが出来ました。

バングラデシュ経済をけん引して来た「縫製産業」の分野では、
これまで堅調だった欧州への輸出が、ユーロ危機など欧州経済の不透明感
から、減少していることに危機感を持っている企業経営者から話を
聞くことが出来ました。

バングラデシュでは、欧米向きの「小品種多ロット」の生産と比べ、日本企業
は、「多品種小ロット」と効率が悪いことから、なかなかビジネスには繋がりません
でしたが、今回の訪問では、より付加価値の高い分野
へと進出を希望する
現地企業がたくさんありました。

また、行政関係者からは、次代の産業として、「軽工業」への期待が、
多く寄せられていたことも印象的でした。

この二つのことに共通するのは、より高度な技術力を培う為の「教育」です。
日本企業が現地に委託生産することも、合弁企業にするにも、この技術力
大きなネックとなっています。

先進国や新興国のように、ある程度の技術力をもった現地人材は、途上国には
そうそういるものではありません。だからこそ、人件費が安いのです。
(バングラデシュは、中国の1/3~1/4程度)

途上国でのビジネスは、「教育」による人材育成から始めなければ
なりません。

1から創って行くからこその「醍醐味」があると思うのですが、日本の企業は
準備万端でないと海外進出に躊躇してしまう傾向にあります。

ある程度の技術力があって、人件費が安く、インフラが整備されていて、日本語
が使える人材が豊富にいる。。。そんな国は、どこにもありません。

失われた20年は、そんな「日本企業の消極的姿勢」に問題があったのだ
と思います。


先日、バングラデシュに現地企業との合弁会社を設立した小島衣料の
小島正憲会長から、こんなお話を伺いました。

「いいと思っても、色々と調べていくと、いい情報より悪情報の方が必ず
上回る
。だから、『ここ』と決めたからには、あれこれ調べず、
『信念』
を持ってことに臨むんだ
。」

確か、ホンダの本田宗一郎も、
「マーケティングなんかをよそ様には頼まない。
 『信念』を持って自分で決めるんだ。
と話していたといいます。

途上国でのビジネスは、「人材教育」という基盤整備から始めることと、
「信念」を持って諦めずに取り組むことが不可欠なのです。


「BOPビジネスを始める」、「ビジネスモデルをつくる」・・・
という表層的なキーワードをなぞりがちな風潮に、私が違和感を覚えるの
は、この為なのだと思います。

関連記事

バングラデシュの思考

  9月3日、バングラデシュの私立大学Northern Universityの客員教

記事を読む

日本企業の”やる気スイッチ”を押せ!

日本マーケティング協会(JMA)主催の第45回マーケティング・フォーラムで講演をさせていただきました

記事を読む

思考の導線

大学での講義や、学生と雑談をする中でいつも感じることは、同じものを見たときの「思考の導線」が、我々の

記事を読む

いざ、後期スタート

いよいよ今週から、本格的に後期がスタートしました。立教大学の池袋キャンパスには、新図書館とタリーズコ

記事を読む

ポジティブで共感を促す魔法の言葉

2014年9月22日、山陰合同銀行が事務局を務め、私自身もアドバイザーとして参加している森林を守ろう

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です