フィールド・デザイン思考~右脳と左脳の交差点

弊社代表 見山謙一郎のコラムです

思考の導線

大学での講義や、学生と雑談をする中でいつも感じることは、同じものを見たときの「思考の導線」が、我々の世代と明らかに違うということだ。例えば、アルコール飲料の捉え方もそうだ。

 

アルコール飲料と言えば、我々の世代はまずビールを思い浮かべる。日本酒、焼酎もあるかも知れないけど「とりあえずビール」だろう。「ワイン???」でも、これは最近になってからのことで、僕らが学生のころにワインを嗜むやつはいなかった。学生時代は、とりあえずビール、それからサワー系、酒に強いやつや体育会系は日本酒みたいな感じだったように思う。その後、社会人になってから焼酎を覚え、ワインを嗜むようになり、外ではビール、家では発泡酒、第三のビール、CMの影響でハイボールみたいな感じで徐々にアルコール飲料の選択肢が増えていった。コンビニやスーパーのアルコール飲料の棚前で、それぞれの商品の歴史や、値段と味のバランスみたいなものを考えながら商品を選ぶ、我々の世代はそんな感じだろう。

一方、今の学生はアルコール飲料の歴史も味もよくわからないまま、多品種のアルコール飲料の棚前に立つ。何を買うかのポイントは、CMのイメージ(音楽や色)、親の影響など様々であるが、アルコール離れといわれる世代ゆえ、細かい拘りはなく、何よりもコスパ重視との意見を耳にする。また、男女を問わず、あまり酔いたくないからいう理由で、アルコール度数の低い酒をTPOに合わせて選ぶという話も聞く。そこには我々世代のように、味の基準をビールに置き、そこから発泡酒、第三のビールをイメージしたり、味と価格のバランスで商品を選択するという思考の導線はなく、全てのアルコール飲料が同一線上にあるという、明らかに我々の世代とは違う思考の導線があるのだ。

 

彼らが生まれた時には、既にソ連もベルリンの壁もなかったのだから、思考の導線の違いは当たり前と言えば当たり前のことかも知れないが、そのことをしっかり理解している大人はまだまだ少ないだろう。マーケティングのヒントは、こんなところにもある。

アイキャッチ画像:http://www.skyseeker.net/

関連記事

no image

大学(2012年度前期)

気がつけば7月半ば、大学での前期講義も、いよいよ今週が最終回です。 2012年前期の、私の大学

記事を読む

no image

【就活考-1】学生にCSRをどう教えるか? ⇒ 学生は卒業後、なぜ就職するのか?

2011年~2014年の4年間、母校立教大学の学部学生向けの全学共通カリキュラムにおいて「新時代の企

記事を読む

日本企業の”やる気スイッチ”を押せ!

日本マーケティング協会(JMA)主催の第45回マーケティング・フォーラムで講演をさせていただきました

記事を読む

ポジティブで共感を促す魔法の言葉

2014年9月22日、山陰合同銀行が事務局を務め、私自身もアドバイザーとして参加している森林を守ろう

記事を読む

創造と想像

  「ビジネスにもっと想像力を!」 今回、リニューアルしたHPのトップに、このメッ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です